到津の森公園

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日本モンキーセンター 小寺前園長を偲ぶ

6月15日、一通のメールが舞い込んできました。それは日本モンキーセンター 小寺前園長の訃報でした。

 

北九州の方にはあまり馴染みのない動物園かも知れませんが、愛知県犬山市長良川に接する小高い丘陵地に、広大な敷地を有する動物園です。設立当初は日本における猿類調査をリードする研究施設でもありました。

 

学生時代、今から40年前、サル学者西田利貞さん(当時東京大大学助手)から房総のニホンザルを見に連れて行ってもらってから、私の中で一番の動物はサルという構図が出来上がっていました。大学卒業時にはモンキーセンターで働きたいという漠然とした気持ちもあった。モンキーセンターに隣接する京都大学霊長類研究所は今でも日本における猿類研究だけでなく、世界の猿類研究をリードしています。

西田さんは最晩年の2004年にモンキーセンターの所長に就任しました。小寺さんの園長退任の5年後です。

 

1976年から1999年まで27年間園長をされた小寺さんはいわば憧れの動物園人です。単なるサル好きの私の話を飽きもせず聞いていただき、また何かにつけ相談事を引き受けて下さった。動物園経営のこと、動物の収集のこと・・・。若輩の私を動物園に導いたのも彼だったかもしれません。北九州に住む私にとってはとても大きな存在でした。

 

小寺さんの死はいわば日本の動物園の象徴を失ったごときです。たしかに小寺さんの園長時代は動物園のよき時代だったかもしれません。しかし、動物園に情熱を持って取り組んできた最後の園長であったと思うのです。

 

動物園の園長の使命とは何か。

 

彼はきっと私にこう言います。

 

「岩野君、誰にも負けん情熱と信念だよ。」

 

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