到津の森公園

獣医さんのお仕事 公園だより

リーの戦歴

吹く風も涼しく、到津の森公園も秋を迎えました。

見回りをしていると携帯電話が鳴りました。ワオキツネザルの担当者からです。「リーの指先から出血しています、噛まれたようです。」駆けつけると右手の中 指がだらりと半分切れています。群れの4頭のメスを率いるオスの「リー」と、隣で個別に飼育しているもう一頭のオス「ヤシャ」が網越しにけんかしたようで す。

ワオキツネザルは秋から冬が繁殖期、そろそろ恋の季節となりました。
やはり去年の今頃、ヤシャとリーはまだ同じ群れにいましたがメスをめぐって当時1歳であったヤシャがリーからひどく噛まれて大怪我を負いました。それっき りヤシャは個別飼育にしていました。1年後、傷を負ったのはリーの方でした。ヤシャはリーよりも大きなオスに成長しました。

ヤシャを群れに入れ、リーを別にすることにしました。リーの噛まれた指を縫合しようとした際、ん??なんと右手にあるまともな指はこの中指だけ、あとは短くて…過去の戦歴を物語っています。

動物の世界は厳しい。強い個体が子孫を残すという大原則。男はやっぱり、つらいなぁ。

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