園長の部屋 公園だより

チンパンジーの「パン君」

ついに悪者になってしまった…。

彼は凶暴なのでしょうか。凶暴になってしまったのでしょうか。

しかし彼にどんな責任があるというのだろう。

 

チンパンジーはチンパンジーの群れの中にあってこそチンパンジーです。ヒト種とともにあるものとは違うという認識はなかったのでしょうか。チンパンジーは人の物まねをするのが得意という動物種ではないと思って欲しかった。彼に人真似をさせてどのような利益があったのでしょうか。その利益はすべて人(見ている人も使っている人も)に還元され、彼は今、罪人のようにいわれる。それはあまりにもかわいそうではないか…。

 

2009年、日本動物園水族館協会は当時7歳になった「パン君」をショーに使うのは危険でもあるし、動物福祉上も好ましくないので即時ショーを中止し、チンパンジーの群れ飼いを始めて欲しいと勧告をしました。しかし、彼らはこのショーの経済的効果を重視、協会を退会しショーを継続しました。当時の私たちは今回のようなことも起こりうると考えていましたし、なによりもチンパンジーという動物種をこのようなショーに使うこと自体が問題でもありました。

 

動物飼育の現場はこの数年でずいぶん変化をとげました。珍しい動物や奇妙な動物を飼育することよりも、身近な動物たちがどのようなメッセージを私たちに伝えるのかに重点が置かれるようになっています。動物福祉や権利も考えねばなりません。私たちが見たい、笑いたいだけでそのように動物を見ていたのなら、その姿勢を変えねばならない時代なのです。当然、見ることから自己の視野を広げていくこともあるでしょう。しかしそれもそのような見せ方あるいは伝え方があってのことではないでしょうか。

 

明日9日、小菅と立ち上げた「国立動物園を考える会」の第一回シンポジウムを東大の弥生講堂で開催します。そこでは動物をただ飼育するだけが動物園の役目ではないことを知って欲しいと思っています。動物園の新たな使命を提示したいとも思っています。

 

秋田のクマ牧場では飼育の係員が死亡するという事故も起きました。

かつて動物園もレジャーの一翼を担っていました。しかし今、動物園は地球環境の変化という人間にとってとても重要な情報を発信する場へと変わってきているのではないでしょうか。 

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