到津の森公園

動物たちのおはなし 公園だより

ヤギ ヨウヘイ 

とうとう…このブログを書かなければならない時がやってきてしまいました。

 

2026年4月17日午前、ヤギのヨウヘイが旅立ちました。

本当に穏やかな最後の数日、そして静かな旅立ち…

最後の最後まで空気の読めるヨウヘイでした。

当園一番の高齢ヤギということで特にケアが必要なこともあり、なかよし広場にいる時から個別に対応することが多かった分、担当になってからヤギたちのことを知っていくうえでヨウヘイから教えてもらったことがたくさんありました。

たくさんの初めてをヨウヘイと試み、そこで得た知見を当園のヤギたちに活かしてきました。ヨウヘイだからできたこと、本当に多かったなと思います。

 

足腰が弱ってきたこともあり、岩山で群れの中で過ごすのではなくのんびりの余生を、と同級生だったヨシミツとキャベツ売り場前のなかよし広場に引っ越ししたのが3年ちょっと前。

三つ子が生まれた2023年3月からは仔ヤギたちの相手もしながら。

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(上;小さいしらたまの相手 下;小さいのりまきの相手 をするヨウヘイ)

 

その年の8月にずっと一緒に過ごしてきたヨシミツが亡くなりました。

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(奥がヨウヘイ、手前ヨシミツと小さかった三つ子)

 

三つ子も岩山デビューし、なかよし広場で一頭で過ごすこととなり。

最初の頃は一頭では寂しいのではないか?と、おばあさんヤギたちを一緒にしてみたりしましたが、どうしてもどつきあいになってしまい、ちっとも平和ではない感じ…

「ヨウヘイ的にはひとりの方が穏やかに過ごせるみたいね」ということで、なかよし広場の主として今年の1月まで過ごしていました。

自由にのびのびと、を存分に体現していたように思います。

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年齢を重ねるごとに足の状態は悪くなってしまい、痛みを少しでも軽減させるために当園ではヤギに初の漢方薬。

1日3回の投薬も全く嫌がらずに食べてくれたおかげで、お互いの負担にもならず、薬の効果か痛みも和らいでいたように見えました。

定期的に蹄の手入れをするようにしましたが、こちらも最初はお互い試行錯誤。体も大きく、まだ力も強かったヨウヘイを横倒しに倒し、飼育員が覆いかぶさるように抑え…

あまりにも大変なため、ヨウヘイの協力を得る体制に変更。

何度かの練習で、あっという間に新しい方法に慣れてくれたヨウヘイ。

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ヤギ(ヨウヘイ)って賢いのね、と感心しました。おかげで蹄の手入れをする獣医も、安定した姿勢を保持してもらう飼育員も格段に負担が減り、定期的な手入れにそれほどの苦痛も感じずに続けることができました。

途中からは飼育員はもはや何の保定もせずとも姿勢を維持してくれるような状態、ヨウヘイも余裕で蹄をいじっている獣医にちょっかいをかけたりしていて、ヨウヘイとのふれあいを楽しめる時間でした。

なつかしいな…

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2024年秋、軒下に吊るした干し柿は、干される前にヨウヘイに食べられてしまいました。

もともと他の動物のおやつになればと思っていたものです。日々少しづつ減っていく柿に、最初はカラスに盗られているのかな、と疑っていましたが、ある日…

現行犯。

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(飼育員に寄って来たヨウヘイ。口の周りもヒゲも柿!)

 

しかしヨウヘイの足の関節の伸ばし運動に最適。普段とは違う動きがうまれ、ヨウヘイにも悪くない、とこのまま継続しました。

この頃から関節が冷えないようにと靴下を履くようになっていて、これがヨウヘイのトレードマークになっていました。

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ヨウヘイも心なしかこの時期は活発だったように思います。

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次の年の猛烈な夏の暑さも乗り越え、秋、冬と季節が進むにつれ、それまで維持できていた足の状態も少しづつですが悪くなってしまいました。

クリスマス辺りでいったん体調を崩し、年は越せないかもしれない、と覚悟しましたが…復活。

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2026年新年のヤギ舎からみなさんへのごあいさつはヨウヘイの写真を使いました。

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ただ、寒かったこともあり、それまで比較的ウキウキと移動(なかよし広場へ)していたヨウヘイも外へ出渋ることが増え、室内で過ごすこともちらほら。

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ヨウヘイの気分を優先に、と看板を作った矢先…

夜間に転倒してしまい前肢を痛め、立てなくなってしまいました。

当初はリハビリでなんとか回復を目指しましたが、過程で後肢も痛めてしまい、いよいよ寝たきりに。

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動物が起立できなくなるということは、自力では生きていけないということ。

あと何日か…とカウントダウンのような日々でした。

毎朝ヤギ舎の扉を開ける瞬間、緊張しました(扉を開けた正面がヨウヘイの寝室です)。

 

寝たきりになってしまい完全介護となったヨウヘイ。

通常であれば細かいケアを行うために公開を中止するところでした。

状態がいつ変わるかわからない中、幸いキャベツの販売のために常に飼育員がいるヤギ舎。

飼育員の目が常に届き、対応できる状態での介護を続けることにしました。

来園者の方々の目の届くところでの介護、公開を続ける、ということは大きなチャレンジでした。

寝たきりの状態で、確実に弱っていく姿を公開することが、来園者のみなさまにどのように受け取られるのか…

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(↑そんな担当者の心配をよそに、良い顔をするヨウヘイ)

 

1月末には…、2月中旬には…、2月末には… 

ところが… 

…あれ?3月。

…え?誕生日迎えられるかも!?

 

公開の期間が長くなるにつれ、ヨウヘイのために、と本当にたくさんの差し入れをいただきました。

予想もしていなかった反響をいただきました。

「なかよし広場で靴下をはいてたコだよね」とヨウヘイがしっかり認識されていたことを知ることができました。

わざわざ遠方から「ヨウヘイくんに会いに来たよ」とご来園いただきお声がけもいただきました。

「ヨウヘイががんばっていることに励まされる」と。「ただ生きていることが素晴らしい」と。

そのような言葉を聞くたびに、ヨウヘイが伝える「命」の力のすごさを思い知らされました。

なかには、「人の介護といっしょですね」「大型犬の介護をこの間までしていて、大変ですよね」といった声も。

 同じ いのち!

ヨウヘイの生きざまを通して伝わったこと、本当に嬉しく思います。

 

4月8日に17歳の誕生日を迎え、元気に過ごしていたヨウヘイ。特に4月に入ってからは、なんだか目がよく動き、また一段と表情が豊かになり、主張がしっかりしていたように思います。

終業に合わせてヤギたちに声掛けするときも、ヨウヘイの視線を感じてなんだか後ろめたく、群れには「じゃあね!」と軽くあいさつし、ヨウヘイには「また明日ね!」としっかりと。

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(また明日ね、の時のヨウヘイの顔。担当者のお気に入りの表情です。また明日会える顔!)

 

4月14日まではそれまで通り、乾草もしっかり食べることができていました。

15日朝から急に体温調節ができなくなり、その日から食が進まなくなりました。

でも、バナナとオレンジは食べられていました。

16日は少し安定していましたが、やはり食欲は戻らず。

動画 16日撮影

それでも、「写真撮るよ」のスタッフの声掛けには応じてきちんと顔をあげていました(↓写真)。

この日まで、それまで通りの公開をしていました。

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17日の朝には意識が朦朧としていたため公開を中止し、そしてその日の昼前に息を引き取りました。

 

完全介護が必要となった1月末に42キロだったヨウヘイ、寝たきりの3カ月間も劇的に体重を落とすことなく過ごせました。

一日に何度も行う体位変換や、胃内に溜まったガス抜きのための起立姿勢の維持などの(大変だった)作業はなくなりましたが、それはそれでさみしい。

ヨウヘイが亡くなって一週間。まだ扉を開ける度に「あ、いないんだ」となっています。

ヨウヘイは亡くなりましたが、ヨウヘイが教えてくれたことはこれからも残ります。

これからもそれぞれがそれぞれらしく最後の日を迎えるまで過ごせるように、ヤギたちに活かしていきます。

 

ヨウヘイを最後まで応援していただき、本当にありがとうございました。

 

ヨウヘイ、ありがとう。

安らかに。

 

おまけ;

動画 「また明日ね」の時の様子

★2009年4月8日撮影 ヨウヘイ↓

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