動物たちのおはなし 公園だより
バードケージ担当になって1年が経ちました。
今回はお客様によく聞かれる質問について。
バードケージで鳥たちを見ていると、ちょこまか動く小さな茶色い鳥が。
「スズメって飼ってるんですか?」
と、よく聞かれます。
答えは……飼っていません!
バードケージでみられるスズメたちは、ケージの網目から入りこんでくる野生のスズメたち。
バードケージには、フラミンゴやアフリカクロトキ、ムギワラトキ、カルガモ、アカツクシガモ、アマサギなど、
スズメと比べるとどれもずいぶん大きな鳥たちが暮らしていますが、
その鳥たちのごはんのおこぼれをつまみに来ているようです。
スズメは、昔から人の暮らしのすぐそばで生きてきた「人里の鳥」。
田んぼや畑、家の屋根や壁のすき間など、私たちの身近な場所で暮らしてきました。
「チュンチュン」という鳴き声も、なじみがあると思います。
そんなスズメですが、実は野鳥観察のときに「ものさし」として役立つ存在でもあります。
【ものさし鳥】とは、他の鳥を観察するときの基準となる鳥のこと。
なにかわからない小鳥をみつけたとき、スズメ(約14cm)と比べて大きいか、小さいか、考えてみましょう。
他にも、キジバト(約33cm)、ハシブトガラス(約57cm)のような身近な鳥も、ものさし鳥として活躍します。
知らない鳥に出会ったときに、「スズメよりちょっと小さかったな」とか、「ハトとカラスの中間くらい」といった
なにげない大きさの印象が、その鳥を知るための大切な手がかりの1つになります。
でも最近、そのスズメが少しずつ減ってきているのをご存じでしょうか?
環境省のモニタリング調査結果では、2005年度から2022年度の18年間で
スズメを含め里地里山で記録された鳥類の15%にあたる種の記録個体数が急速に減少と報告されています。
スズメが多く見られるような人里や里山の環境も、少しずつ変わってきているのでしょう。
「どこにでもいる」と思っていたスズメも、実はそうではなくなりつつある昨今。
もしかしたら、スズメを動物園で飼育しなければならない時代もやってくるのかもしれません。
バードケージに現れる「小さな来園者」たちが、そんな自然の変化をそっと教えてくれているのかもしれませんね。
バードケージ担当:くどうさくらこ
参考文献:
モニタリングサイト1000 第4期とりまとめ報告書概要版