到津の森公園

動物たちのおはなし 公園だより

里のいきものだよりvol.5 〜ムササビの新年早々の事件(?)〜

あけましておめでとうございます。2026年となりましたね!

里のいきもの館や、バードケージ、そのまわりにひろがる里山ゾーンのいきものや自然についてお伝えする「里のいきものだより」。今回は、私の担当でもあるムササビたちに、新年早々起こった出来事についてのおはなし。

私はお正月にお休みをいただいていました。動物園には動物たちがくらしているため、年末年始も交代でスタッフが出勤し、お世話を続けています。

休み明け、ムササビを担当していたスタッフから「みんな変わりなく過ごしていますよ」という引き継ぎを受け、まずはホッと一息。少し久しぶりのムササビたちの飼育作業に入りました。

ムササビは夜行性の動物です。朝の飼育作業の時間帯は、たいてい眠っています。毎朝のルーティンは、「今日はどの巣箱に入っているか」の確認。それに加えて、ケガはないか、キレイなウンコか、エサはきちんと食べているか等のチェックをします。いつもは、私たちの作った巣箱の中で、丸くなっているムササビたち。これまでに、たまに草の茂みで寝ていたことはありましたが、基本は「巣箱にいる」が当たり前でした。

ところが、私の2026年初出勤の日は、違いました。

 

いつものように巣箱を確認していきます。

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カカオ・カエデ OK

コタロー OK

シロタロウ OK

コタ OK

 

でも……

くぅ がいません。

 

「……いない?」

 

もう一度、巣箱を見直します。

カカオとカエデの親子は一緒の巣箱。

ほかの子たちは、いつも通り一匹ずつ。

 

やっぱり、いない。

 

まわりの草むらもかき分け確認します。

 

いない……。

 

どこ?

どこ?

どこーー?

 

何かに食べられた?

どこかから逃げだした?

 

不安な気持ちが、頭をよぎります。

 

他の動物種のお世話もあるので、いったんゾウの飼育作業へ向かいましたが、気が気ではありません。

作業を終えて、急いでムササビの森へ戻り、もう一度探します。

 

それでも——

いない。

 

くぅは、展示場に引っ越したばかりのころ、木の上で眠っていたことがありました。木の上を確認し、枝葉の間にも目を凝らします。

 

いない……。

 

そのとき、ふと目に入ったのが、展示場に置いてある一本の丸太でした。

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「……まさか」

 

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穴がある。中をのぞいてみると——

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いたーーーーー!よかったーーーーー!

丸太の穴の中に、くぅはいました。

私の心配をよそに、何事もなかったかのように。穴にジャストフィット!!

ほっと一安心。

 

でも、そのあと、じわじわと別の気持ちが広がってきました。

ムササビが樹洞:ウロ(木の枝や太い枝の中にできる空洞のこと)の中でくらすことは、文献では知っていました。野生のムササビは、木のウロをかじってリフォームし、ねぐらとして利用すると紹介されています。

けれど、実際に目の前でその姿を見たとき

「ほんとうに、ウロに巣を作るんだ」

「こんなに狭いところでも、入れるんだ」

「野生の個体も、きっとこんなふうに身を縮めているのかな」

「木が分厚くて、ぎゅっと入っているほうが、中があったかそうだな」

そんな思いが、次々と浮かんできました。

 

百聞は一見に如かず。

知識として知っていることと、実際に“その瞬間”を目にすることは、やはり違います。丸太のウロにおさまる、くぅの姿をみて、ムササビ本来のくらしを垣間見たような気がしました。

日々の飼育の中には、大変・不安になる瞬間もあれば、こうして、いきものの本来の姿に出会い、心を動かされる瞬間もあります。今年も、そんな瞬間にたくさん出会いながら、いきものたちのことを、もっともっと知っていきたいなと思った出来事でした。

……とはいえ、ムササビたちはお客様からは、なかなか姿が見えにくいいきもの。まずは、「見えないくらし」をこうして発信していくことから、頑張っていきたいと思います。

今年も、どうぞよろしくお願いいたします。

 

くどうさくらこ

参考文献:『飛べ!ムササビ』(2019)熊谷さとし

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