園長の部屋 公園だより

国立動物園その3(地方の動物園その1)
旭山動物園のペンギン散歩

 

 

【地方で生きる動物園とは】

 

現在、日 本では東京、名古屋、大阪など大きな都市には大きな動物園があり、地方都市にも大なり小なり動物園を抱えています。それらはまったく何の不思議もなく存在 します。都市間の地理的距離と時間的距離が等しい時代には(今から50年くらい前でもそうでしたが)、自分が居住する都市以外の場所はなかなか訪れること ができず、基本的な生活はその都市周辺で事足りていました。いくら動物好きでも、北九州に住む人々にとって東京の動物園を訪れることなど(ひょっとすると 福岡市の動物園でも)夢のまた夢でした。

 

また、当時は豊かな自然をまだ実感できる時代でもありました。しかし夢のような時代は足早に過ぎ去り、私たちの身の周りからも自然は急速に消え去ってしまいました。

 

そうした状況にもかかわらず、動物園はまだ規模競争をしようとしています。過去には自由に手に入ったキリンもゾウもホッキョクグマも、ゴリラも猿たちもすでにいないのに。人々が想い描く動物園の姿は現在ではあり得なくなっています。

ま た、今まで2頭飼育していたゾウを3頭飼育できる飼育舎を作ったところで、ゾウは1頭も増やせないのです。ゾウをゾウとして飼う(つまり繁殖し継続飼育で きる)には最低でも5~6頭は必要でしょうし、広い飼育面積も欠かせません。そのようなことができる園が日本にいくつあるでしょうか?

動物を現地から引っぺがして連れてくる時代はもう過去のものです。それなのにまだ、限りある生命を無駄に消費するために日本に連れて来こようとしています。

 

旭川市の旭山動物園でペンギン散歩が注目を浴びたのは、それが雪上だからこそではなかったでしょうか?これこそが、この地域でしかできない展示方法でしょう。新しい手法が成功したのは、アザラシの生態を知っているからこそではないでしょうか?

今、各地でその擬似施設ができていますが、そのような偽物施設では人々の心を打つことはできないと銘記すべきです。無駄に維持経費のかかる施設を作り、そのつけを住民に回されることもあり得ます。 

 

こうしたことを考えるうち、地方の動物園の姿がおぼろげながら見えてきました。私たちの住む日本は自然環境も生活習慣も多様です。多様な思考力をもって新しい動物園を考えてみましょう。

 

次回もう一度、地方の動物園について考察します。

 

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