到津の森公園

名誉園長の部屋 公園だより

農家って・・・

少しばかりの知識で農家や畜産家を判断するのは早計だとは思いますが・・・。

 

先日、依頼され宮崎大学の畜産を学ぶ学生に集中講義をしに行って来ました。土日二日間で6時間というちょっとハードな(学生にとって)講義です。私が受け持つのは「実践動物園学」。日本の歴史・文化から動物園を見てみようという壮大な内容です。もっともこの講義の内容をお話しするのが今回の目的ではありません。

 

実は、私を呼んでくださる森田教授は畜産草地学科の先生で、近くの畜産農家の方をよくご存じです。去年この講座で講義をしたときに、先生がとても素敵な畜産農家の方がいらっしゃるので一緒に行きませんかとのお誘いで、都城市の「めんどり家」さんという農家を訪ね、今回もまたお邪魔させていただきました。

 

この「めんどり家」さんは採卵鶏の飼育をしています。ご主人は川畑さんといわれるのですが、鶏に卵を産ませるということに大変な努力をされていて(たとえば餌は出来る限り近くの草を使用したり、糞はその草を育てることに使ったり、しかもその糞は鶏から出てきたときから糞臭がしません)、その知識は並みの研究家以上のものでした。しかし、そのような努力の結果は決して安い卵に結びつきません。大手の採卵工場(まさに卵を産ませる鶏を飼う工場です)から出荷される卵とは価格的に競争ができないのです。彼の鶏は病気にとても強いし、卵もとても美味しい。彼は言います。「いつまでこんな鶏を飼えるんやろうかねえ。鶏が産みたいだけ産んでくれたら十分と思うちょるけど、お客さんは安い方がいいみたいやけねえ」。

 

大量生産、大量消費そして大量廃棄。日本はその悪循環に疲弊しているように見えます。私たちがちょっと立ち止まって足元を見つめれば発見できることがたくさんあるのにと、「めんどり家」さんに行って感じたことでした。

 

真っ当に努力しても報われないことってあるのですね。でもそれって悲しい・・・。 

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