動物たちのおはなし 公園だより

チンパンジーたちのこと

 

 

 

ニシチンパンジーのオス、キンジが2019年5月26日に亡くなりました。母キララにとっては初めての育児でしたが、5か月間しっかりと抱いて愛情深く育てていました。

 

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(キンジに授乳するキララ)

 

 

母キララの育児を支えるために、双子の姉妹であるクララと3頭で過ごしていましたが、5月22日にクララがキンジを抱いて離さない状況がおこりました。おそらく、夜間にキンジが動き回り、クララの体にしがみついたことで、クララが自分の子どもと認識してしまったのかもしれません。

キララのもとへキンジをもどすため、様々な手立てを講じましたが、クララの子どもに対する執念はすさまじく、結果としてキンジが亡くなる事態となってしまいました。

 

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(キララに寄り添うクララ)

 

 

キンジはいつも大きく口をあけて目をきらきらとさせ、どこか楽天的な印象を与える子でした。

 

最近は歯が生えてきたこともあり、あちらこちらを甘噛みし、母キララの食べている様子を口をもぐもぐさせながら、じっと見つめるようになっていました。

 

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(なにもかもが目新しいキンジ)

 

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(キララに抱かれて運動場を行く)

 

母親であるキララも、目覚ましく成長していました。

第1子サクラの出産時には、自分の子どもと認識することができず、抱き上げることができませんでした。しかし、キンジを出産した時には、自らの手で静かに頭と体を支え、しっかりと胸に抱き上げました。

 

最初は抱き方もぎこちないものでしたが、すっかり母親となり、顔も穏やかで良い表情をしていました。彼女自身の成長は、クララや先輩格であるイチゴの育児をしっかりと見て学習をしてきた成果と言えるでしょう。

 

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(出産直後しっかりと抱いている)

 

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(やわらかい表情のキララ)

 

 

私たちは、これからキンジが50年、60年と仲間に囲まれて幸せな人生を歩めるよう、群れの仲間と過ごすことを考えていました。

チンパンジーは本来、複数のオスと複数のメス、その子どもたちからなる『複雄複雌群』で暮らしています。そして、母親や群れの仲間たちを通じて様々なことを学習し、心身ともに成長していきます。キララとクララは、人工保育という人に育てられた経験があります。それゆえに、自身が母親となり子どもを育てることに、やや難しい面をもっています。

私たちは、彼女たちの出産、子育てを支えるだけではなく、群れの中でチンパンジーとして生きていけるよう心掛けています。日々関係性を築き、彼女たちの心の奥底に触れたいと目や声、表情、しぐさ、態度、周りの様子や関わり方など、様々な情報を手掛かりとして、試行錯誤しています。

 

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 今回の件を含め、悲しい出来事が続いていますが、これからもチンパンジーたちのために何ができるか常に考えながら、彼らと向き合っていきたいと考えています。

これまで、キンジの成長を温かく見守ってくださった多くの方々に、心より感謝申し上げます。

 

 

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