到津の森公園

動物たちのおはなし 公園だより

「野生のレッサーパンダに会いに!」を開催しました。その3

大変遅くなってしましたが、

前回の続きです

 「その1」はこちらから↓↓↓

http://https://www.itozu-zoo.jp/blogs/animal/2019/10/9649.php

 

 「その2」はこちらから↓↓↓

http://https://www.itozu-zoo.jp/blogs/animal/2019/10/9652.php

 

 

今回は、野生のレッサーパンダを守る活動を行っている

Red Panda network(RPN) の取り組みを紹介します。

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*ネパール事務所の看板

 

RPNはアメリカに本部があり、

ネパールで活動を行っている保全団体です。

今回参加したエコツアーもRPNが主催しているものです。

 

ツアーの途中にどのような保全活動を行っているのか、

プレゼンテーションを行ってくださいました。

その中からいくつか紹介します。

 

 

まず、驚いたことに

現地の人々はレッサーパンダのことをほとんど知らず、

生息地の参拝道で出会ったネパールの方々に

「レッサーパンダを見に来た!」といっても

みんな「???」という感じでした。

もしかしたら、英名の「RED PANDA」がわからなかったのかも?

と思いましたが、どうやら本当に知らない人が多いようです。

 

ネパールには首都のカトマンズに動物園があり、

そこでレッサーパンダも飼育されているのですが

地方の人が動物園を訪れる機会は中々無いそうです。

 

 

そこで、RPNではまず子どもたちに

レッサーパンダのことを知ってもらう活動を行っています。

日本や世界にも広まっている

「国際レッサーパンダデー」もその取り組みの一つです。

 

まずは、現地の子供たちに知ってもらう為、

レッサーパンダのことを紹介した冊子を配布しています。

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この冊子、ネパール語なので読むことはできませんが、

写真に見覚えありませんか?

(実は、当園のクスクス君とアシタバちゃんの写真が

採用されているんですよ!)

子どもたちの対象年齢に合わせて用意されていました。

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*ネパールでの教育活動の様子

 

 

冊子の他にも生息地の参拝道や、そこに向かう道中でも

このような看板をよく見かけました。

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*大型で大人も含め人の目につくところに設置されています。

これもなんと書いてあるのかわからないのが残念。

 

 

 

保全活動と言っても動物だけを

守ればいいわけではありません。

そこに暮らす地元の方々の生活を守る必要もありますし、

動物を守るためには昔ながの生活を

見直していただくことも必要です。

 

 

 

そこでいくつかの提案をしています。

まず、調理に使用する「薪」です。

 

薪を得るためには森の木を切り倒す必要がありますが、

その木がレッサーパンダが利用している木であったりします。

そこで、薪を利用しない方法として

練炭を導入しようとしているそうです。

練炭の利便性や使い方、製造方法を伝え

薪を使わず生活出来るようにするのが目的です。

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そういえば、ネパールはどこもかしこも薪で火をおこすので

山の中でも煙たい!目が痛い‼

モクモクとどこかしらから煙に包まれてしまいます。

山の空気も汚れますし、

人や動物の体にも良くないなと感じました。

 

 

それから、現地の住宅事情ですが、

こちらもやはり森から木を切り倒して作った

家や牛小屋が多いです。

特に伝統的な牛小屋の屋根は

竹を編んで作られたもので

2年ごとに葺き替えを行うそうです。

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*生息地の牛小屋

 

この屋根に使用される竹はレッサーパンダの食糧でもあるので、

家や小屋を木製からテントやトタンといった

長期的に利用できるものへの代替えを提案しています。

 

 

他にも現地の人々の暮らしを豊かにする方法として

収入源の確保も必要です。

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*フォレストガーディアン宅の苗床

 

苗床で育てた薬草等を販売して収入を得たり、

他にも牛やレッサーパンダのエサとなるような

植物も栽培していました。

 

家畜の牛の品種を見直して、

泌乳量の多い品種へと変えることで

必要以上の牛を飼育しないようにするなども助言したり。

 

 

生息地に生活する地元の方々には

「フォレストガーディアン(森を守る人)」として

活動していただいています。

 

フォレストガーディアンの活動内容は、

生息地のパトロールや調査、

仕掛けられた罠の撤去、監視カメラの設置などなど。

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*監視カメラ

 

また、エコツアーの際には、経験を活かして

広い山の中をレッサーパンダを

探しに行ってくださいます。

フォレストガーディアンの方のおかげで

で今回私たちも野生のレッサーパンダに

出会うことができたんですよ!

 

 

そうそう、以前こんなことがあったそうです!

前回、少し触れたレッサーパンダの密猟についてですが、

彼らの仕掛けた監視カメラにばっちり密猟者の顔が写って、

後日逮捕されたんだそうです。

この人は凄腕の密猟者(という言い方も変ですが)で、

この人が捕まるなら自分たちもやばくない?となったのか、

それ以来、密猟が減ってきたのだそうです。

 

 

このフォレストガーディアンの活躍は、

レッサーパンダを守るだけではなく、

現地の人にとっては収入を得ることもできて、

とても良い取り組みだと感じました。

 

 

そして森の回復のためには

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*植樹の様子

 

植樹を行ったり、森林火災撲滅のための消防団結成等々…

様々な活動を行っています。

 

 

 

更にレッサーパンダを病気から守るために、

前回登場したイヌにワクチン接種をしています。

昨年、タプレジュンの犬約130匹にワクチン接種を行ったそうです。

しかし、費用がかかるため継続していけるのかは

難しいとのことでした。

 

 

 この他にも2020年の開設を目標に

保全活動の中心となる施設(コンサベーションセンター)

の設立を目指しています。

 

行く行くは地元の方が運営できるような

保全と研究を目的とした施設になる予定です。

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*25年前の空き家を改装して

コンサベーションセンターとして活用する

 

今回ほんの1部を紹介しましたが

保全の取り組みはこの他にもたくさんありますので、

気になる方は

RPNのHPで調べてみてください。

 

 

 

 

今回のエコツアーでは日本では知ることが出来ない

現地の状況や、そこで暮らす人々のこと、

レッサーパンダを取り巻く環境、RPNの活動の様子を知ることが出来、

 

 

素晴らしい出会いと体験をさせていただきました。

 

 

 

何不自由のない日本では

普段の生活にあまり深く考えることはないのかもしれません。

しかし、私たちが暮らす地球の未来を真剣に考え、

そしてまず一人一人、何ができるのか、

少しでも行動に移すことが出来ればよいなと思います。

 

 

1時間では伝えきれないことも多くありましたが、

参加してくださった皆さんや、

このブログを読んでくださった皆さんの心に

少しでも届くものがあればいいなぁと思います。

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

 

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