到津の森公園

動物たちのおはなし 公園だより

里のいきものだより vol.6~スギって知ってる?~

里のいきもの館や、バードケージ、そのまわりにひろがる里山ゾーンのいきものや自然についてお伝えする「里のいきものだより」。今回は「スギ」のお話。

桜が咲き始めました。私は、もふもふのビロウドツリアブを見ると「春が来たなぁ」と思います。(ビロウドツリアブってなに?って思った人は調べてみてね。モフモフでかわいいです。写真がとれませんでした。)あとは飼育員目線だと動物のフンにハエがやって来るようになると…これも春を感じます。みなさんは、何を見たり、聞いたり、味わったりして春を感じますか?

さて、春の訪れを感じさせるものとして、「スギの花粉!」と思った人もいるのではないでしょうか?

かくいう私も花粉症。なんか目がかゆい気がするなぁ、吸っても吸っても鼻水が垂れてくるなぁ……と思っていたら、「スギ花粉飛散」のニュース。こちらも春のはじまりを感じます。そんなスギについて、あなたはどれくらい知っていますか?

私の担当するムササビは、木の葉っぱを食べる生き物です。日々いろんな葉っぱを与えてみています。「スギはどうだろう?」と思って、園内のスギの葉を採って持っていこうとしたとき、他のスタッフにこう聞かれました。

「それ、なんの木ですか?」

私は以前、屋久島に住んでいて、仕事柄よくスギの木を見ていました。なので、スギの葉っぱも当たり前に分かっていたのですが、福岡に住んでいるとスギの木って“遠くから見るもの”で、葉っぱをじっくり見る機会は少ないのかもしれません。

これがスギの葉っぱ。トゲトゲしています。

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そして、この葉の先についているのが…

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そう、あの“にっくき”花粉を出す雄花です。このときもユサユサすると花粉がファサーっと……。

花粉症つらい!目ん玉を取り出して洗いたい!スギの木なんてなくなってしまえ!……と思う人もいるかもしれませんね。でも、このスギを利用する生き物もいます。

ムササビは、葉だけでなく、この雄花もかじっていました。

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私としては「なんかまずそうだな(実際かじるとエグい)」と思っていたのですが、意外にもムササビたちには好評でした。

そして、これがスギの木。(真ん中の細い木)

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「まっすぐな木(直木=スグキ)」が名前の由来ともいわれるように、すらっと伸びた姿が特徴です。材質もやわらかく加工しやすいため、私たちのくらしの中でも広く使われてきました。そのため、植林された杉林も各地で見られます。私の住んでいた屋久島では、大きなスギの切り株も見られました。これは、その有用性から古くから人に材として利用されてきた文化の跡でもあります。

そんなスギ(Cryptomeria japonica)は、実は日本にしか自生していない固有種。植林されたスギの林はよく目にしますが、自然の中で長い時間をかけて育ってきた天然の杉林は、今では限られたものになっています。

スギといえば、花粉症の原因として、今はちょっと嫌われがちな存在かもしれません。でも見方を変えると、スギは私たちのくらしを支え、そしていきものたちのくらしにも関わっている木です。ムササビが葉や雄花をかじっていたように、森の中では、ほかにもさまざまないきものがスギを「食べ物」だったり、「すみか」として利用しているのかもしれません。

スギなんてなくなってしまえ!と思っていたそこのあなた。見え方は少し変わりましたか?

春になると、なんとなく遠くから見ていたスギの木。今年は少しだけ近づいて、その葉っぱや幹を観察してみると、また違った発見があるかもしれません。

花粉症の方は……無理のない範囲で(笑)。

 

くどうさくらこ

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