獣医さんのお仕事 公園だより
大寒波も過ぎ去り、日中の日差しが春を感じさせる日もでてきました。皆さまどうお過しですか?今日は、少しお話が長くなりそうです。
毎月、動物たちの数が増減(出生、死亡、引越しなど)したのかを市へ報告しているのですが、昨年末の12月は増減数が0(ゼロ)でした!私がこの業務を引き継いでから初めてのことで驚いていたのですが、1月はこちらの報告にあるように、SNSでご報告もしていたウサギのユウタロウをはじめ、死亡数が多かったです。
多くが高齢で、「よく頑張ったね。」と思う個体ばかりなので、飼育環境の温度管理にはできる限り気を配ってきましたが、どうしてもこの時期に集中してしまうのかなと感じました。
ウサギのアンコは 2023年夏から断続的に鼻炎になり、治療をしていましたが慢性副鼻腔炎になってしまいました。
抗生剤の投薬や点鼻薬では良化せず、せめて鼻の通りが良くなるようにと、今年度は毎日ネブライジングをしていました。
朝晩行うために、ウサモル舎に通うのが日課になり、アンコのネブライジングをしている間にユウタロウのお尻洗いなど、ウサモル舎にいる時間が長いのが当たり前の日々でした。
ユウタロウが永眠し、その3日後にアンコも。。2頭とも本当に前日までごはんも食べてくれていたので、これ以上してあげられることはなかったと思えるのですが、すこし寂しくなりました。(アンコは治してあげられなかったことが悔しい思いもあります)
最近、マスコミの方に当園の高齢動物について取材を受ける機会がありました。動物の赤ちゃんが産まれると取り上げて頂くことが多いですが、高齢の動物にも焦点を当ててもらえるとは。とてもうれしい限りです。
インタビューも受けたのですが、カメラの前だとどうしても緊張してしまい、上手くまとめられなかったり、話している途中で「あれ?そもそも質問なんだっけ?あれ?ずれたこと話してる?」と何度もなり(涙)
きちんとお伝えできていない気がしてきたので、ここに落ち着いて補足しておこうと思います。
最近、SNSでも報告させて頂いております高齢ヤギのヨウヘイ。老化により筋力が落ち、1月18日から自力で立てなくなりましたが、現在も食欲落ちることなく過ごしてくれています。
スタッフの目がいき届くようにという目的ですが、お客さまにもヨウヘイに会って頂こうと、現在、ヤギの売りエサ場で日中を過ごさせています。
しかし、全ての動物がこういった穏やかな老化をたどるわけではありません。
重い病気にかかってしまう個体、急に悪くなってしまう個体もいます。命あるもの、いつかは終わりがくるもので、その最後をできる限り痛み少なく、不快も少なくしたいと思い毎回奮闘しています。時には治療の甲斐なくそのまま終わりを迎えてしまうこともあります。何度立ち会っても決して慣れることはなく、動物たちのつらそうな姿を見ると本当につらいですし、何もできない時は無力な自分に自己嫌悪し、悔しい気持ちで押しつぶされそうになります。
私が獣医を選択した理由は「苦しんでいる動物を助けたい」から。
私が動物園獣医を選んだ理由は「命の尊さ、すばらしさを伝えたい」から。
そのため、今後も精一杯、命と向き合っていきたいと思っていますし、皆さまにも色々な形でお伝えしていきたいです。また、治療自体はつらい思いをすることもありますが、つらい姿から回復してくれた時の喜びは本当に大きいです!現在のヨウヘイや先月亡くなったユウタロウのように、穏やかに晩年を過ごしてくれると気持ちも温かくなります。
よくマスコミの方に「このような高齢の動物たちから何を伝えたいですか?」と聞かれるのですが、「具体的なものはなく、この瞬間を生きている姿を見て、何かを感じ取って頂ければ」と答えています。命の尊さでも、生命の強さでも、もっと違うことでも。
その個体が到津で過ごした意味を見出したいとの勝手な思いもどこかにありますが、せっかく出会えた命。生きているからこそ、同じ姿や動作を見ることはもう二度とない。一瞬一瞬が貴重な時間と思い、今後も命と向き合っていきたいと思います。
二井

