獣医さんのお仕事 公園だより
気が付けば年の瀬。早いもので2025年も終わりを迎えようとしています。
獣医だよりが10月から更新できなかったため、今慌てて書いています。下書きは9月23日の慰霊祭のことを書き途中で止まってしまっていました。特に慰霊祭に関しては担当になって以来、毎年ひとつの節目として獣医だよりに記してきたため、ずっと心残りでした。今年の振り返りとして、下書きしていたものも含め数回にわたり記したいと思います。
9月23日慰霊祭当日は早朝から雨が降っていたのですが、慰霊祭前後50分ほどはなんと雨がやみました!
毎年、慰霊祭の準備として、この1年間に亡くなった個体のリストを作るのですが、この子は治療後も長かった、最後までよくがんばってくれた、悔しかった、もっと早く気が付いてあげたかった…など様々な思いがこみ上げてきます。ロバのシュンタ、ミミ、ウサギのこのはは個別でブログに記すこともできました。
振り返ることはとても大切ですが、目の前の動物たちに全力を注ぐためにも、医学的なことは別として私はこの慰霊祭の日を一つの区切りとしています。
その区切りのためにも、少し長くなりそうですが、お付き合い頂ければ幸いです。
この↓写真は2021年の学習プログラム中、ウサギのスズノスケの心臓の音を子どもたちに聞いてもらっている様子です。
スズノスケの事はこちらから。スズノスケが高齢のため引退した2024年からは、モルモットの“おはぎ”が大活躍してくれました。
緊張しやすい子や怖がりな子は拡張心音計を当てると、心音でなく、鳴き声などが入ってしまったり、動いて雑音が入ってしまうのですが、“おはぎ”はとっても落ち着きのある個体だったため、心音計を当ててもじっとしてくれ、はっきりと心臓の音を子どもたちに聞かせてくれました。またこの穏やかな性格から、お客さまのお膝に乗って撫でてもらうふれあい教室でも大活躍してくれ、老衰で亡くなる2週間前まで活躍してくれていました。
ヨシガモのヨシキチは2018年に来園。
来園当初から年齢が不明な個体でした。動きから高齢ではありそうだと感じていましたが、2024年11月末、体調を崩してしまいました。治療を開始し症状は消えたものの、ゆっくりと体重が落ち、羽の撥水も悪くなりケアに切り替えました。無事に2025年を迎えることができましたが、寒い季節。撥水できないと体温が奪われてしまいます。寒いからと言って、暖房の効いた部屋に一羽で隔離することが果たしてヨシキチにとって幸せなのだろうか…。担当者とヨシキチのケアに関して色々と相談し試行錯誤した結果、最後まで仲間たちと共に過ごさせ、かつ寒ければ暖まれる場所があれば。
という事で、ホットスポットを防水を十分に考えたうえで設置しました。
また、水浴びした後の羽毛が乾かないため、ドライヤーで補助してみることにしました。大暴れするかと思いきや、意外と最初から平気そうで、ヨシキチを乾かすことも日課になりました(動画)。
12月末からは動きがかなり鈍くなりましたが、ぬるま湯を差し出せば飲み(動画)
ごはんを差し出せば食べてくれ(動画)、
足りない分は食べさせるという生活を送っていました。2月3日に亡くなりました。
アカエリカイツブリの“ギン”
前の担当者が、歩く姿がペンギンのようだから“ペンギン”と命名しようとしていたのですが、私が「動物種名はややこしい(焦)」と言ったことから“ギン”になりました。鳥インフルエンザ対策のため、バックヤードに移動の際の健康診断で確認していたギンの足裏↓
水鳥なので、水の中に適した足をしているのですが、ギンは陸でもこのような歩様をすることもありました。走ろうと思えば走れていました(動画)。ワカサギを担当者の手から1匹1匹もらっていたのですが、池の縁にいてもわざわざ陸を泳ぐようにゆっくり近づいてきては、受け取ったら走って去るというのが好きでした。
2月5日、前日までいつもと変わらない様子でしたが、突然亡くなってしまいました。
アカコンゴウインコのアカアカ
コン♂と繁殖が上手くいかなかったため、2024年からマカダミア♂と新たにペアになり繁殖を目指していました。
7月15日、卵が上手く産めず亡くなりました。次への繁殖の兆しが見えたところだっただけにとても残念でなりませんでした。
こちらには書ききれませんが、どの動物たちも最後まで頑張って生き抜いてくれました。命はいつか終わりがきてしまうもの。その終わりに立ち会うことは何度経験しても色々な思いがこみ上げてきます。これからも、今いる動物たちがより活き活きと暮らしていけるように、これからも務めていきたいと思います。
二井

