到津の森公園

動物たちのおはなし 公園だより

ボスザルのさいご

 

申し訳ありません。ブ―の寿命を全うさせてあげることが出来ませんでした。

 

8月18日、午後1時45分ごろ、これまで11年間サル山の第一位についていた

ボスザルのブ―が息をひきとりました。

 

推定年齢30歳。

2010年3月ごろから、白内障が確認され、今年の3月15日に完全にその視力を失ってしまいました。

ブ―は2001年10月23日に第一位に就任。

視力を失い盲目になってからもメスたちから信頼されている立派なオスザルでした。

 

最近では、(まあ、時期的なものもあるのでしょうが・・・)周りに寄り添うメスの数も少なくなっていました。

と言っても、18日の朝もキクばあちゃんに毛づくろいしてもらっていましたが。

 

そして、遠くでメスザルや子ザルの悲鳴(ケンカで助けを求める声)が上がればそちらに駆け足で向かおうとしたり、

ケンカでやられているメスが助けを求めてブ―にくっつき、ブ―も必死にそんなメスを守ろうとしている様子がうかがえていました。

 

 

尻尾を常に上に立たせている(第一位の特徴)ことは出来なくなっていましたが、まだまだ第一位(ボス)としての自覚が

あったんだな~と思います。

 

もうずいぶん前から、子ザルたち(特にアカネとトモミ)がブ―にあげたごはんを奪い取ろうとやってくるので、

すべて口の中にいれるまで近くで見張っていないといけませんでしたが、

ごはんの時間にはモリモリとごはんを食べていました。

 

 

食欲も旺盛で、目の見えない生活にもだいぶ慣れて安定した日々を過ごしていました。

 

その油断がいけませんでした。

 

ブーが高齢であり介助されないと健康を維持できないとはいえ、引き金となったのは猛暑でした。午後1時40分ごろ、

お客さんよりサル山から落ちて、痙攣しているサルがいるという通達を受け、ブ―の身を回収しました。

この時はまだかろうじて息があったのですが、病院に連れて行き治療を始めようとした時には息を引き取っていました。

 

ブ―の体は熱めのお風呂ぐらい熱を帯びていました。

 

解剖の結果、サル山から落ちたとき(どこから落ちたかなどは確認できませんでしたが)の怪我よりも、猛暑が続く中、

高齢で体の新陳代謝が弱っていたところに体温が致死レベルにまで上がり意識を失い、最終的には多臓器不全で

死に至ったとのことでした。

 

しかし、あの時・・・

 

お昼の時間に少しでも、ちらっとでもブ―の様子を見に行っていれば

この状況を防ぐことができたのではないか、気付けてやれたのではないか

 

そう思うと、悔しくてなりません。

 

 

私がニホンザルの担当になった当初は、サルたちとのいざこざもよくあり、ブ―ともよくケンカして(怒られて)いました。

ブ―にはほんとサルたちとの付き合い方、ルールを教えられました。

 

 

ブ―は、少しでも良い猿生を送ることが出来たのでしょうか。

 

 

防いでやりたかった。気付いてやりたかった。助けてやりたかった。

 

 

ブ―の死をもって、動物たちを観察する大切さ、真摯に向き合い、彼らのことをもっともっと考えなければならないこと、

その命を預かっていること

 

 

あらためて痛感させられました。

 

 

ブ―はさいごのさいごまで、私にたくさんのことを考えさせ、教えてくれました。

 

 

 

ブ―。ごめんなさい。そして、ありがとう。

 

 

 

これからも動物たちが、満足のいく生を全うできるよう、さらに精進し、

尽力していきたいと思います。

 

 

これまで、ブ―を応援してくださった皆様、ほんとうにありがとうございました。

 

 

 

※サル山前にブーへの献花台、記帳コーナーを設置させていただきました

 

 

 

 

 

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