到津の森公園

獣医さんのお仕事 公園だより

雨が降るとすぐにびっしょり

「明日も雨みたい、移動しよっか?」
一雨ごとに寒くなる時期、雨が続くと雨宿りのために移動する動物がいます。バードケージに100羽近い群れで飼育しているクロエリセイタカシギのうちの赤い足輪、緑の足輪を付けた2羽です。
この2羽、羽毛が水をはじく「撥(はっ)水」が悪く、雨が降るとすぐにびっしょりと濡れてしまいます。放っておくと体温が下がり弱ってしまうため移動するのです。

本来、鳥の羽毛はとても精密な織物の様な構造と表面の油分のおかげで水がかかってもころころと水滴となってはじき、それは見事な撥水力を発揮します。
栄養状態や汚れのひどい場合、ストレスなどで毛繕いが出来ない場合などは羽毛の撥水力が落ちるため、これが健康や環境に適応しているバロメーターとなります。
この2羽の場合は、餌の中で水浴びをしており羽毛がいつも餌の魚油でべっとりと、毛繕いでも落ちないほど汚れています。
群れる習性の動物であるため個別飼育は出来ず、雨が止むときれいに洗って戻します。

幸い彼らはそんな苦労も知らん顔、群れの中でのん気に毛繕い。
餌の中で水浴びしないでよ!今日も聞いてくれるはずのない相手に奮闘です。

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