到津の森公園

獣医さんのお仕事 公園だより

獣医だより-38-鳥インフルエンザとは?

皆さん、鳥インフルエンザについて知っていますか?

この冬はニュースでもたくさん流れているため、聞かれたことがある方もいるかもしれません。

鳥インフルエンザとは?

その名の通り、鳥に感染するA型インフルエンザウイルスです。ウイルスの型や鳥への病原性によって「低病原性」と「高病原性」に区別されます。鳥から人へは、よほど大量のウイルスに暴露された場合以外は、簡単には感染しないので、通常はうつりません。

高病原性鳥インフルエンザウイルスは特に家禽(ニワトリ、アヒル、七面鳥など)に対して感染しやすく、伝播力が強いため次々と鳥から鳥へ感染が拡大してしまいます。また死亡率も非常に高いウイルスです。

養鶏場や動物園など、鳥がたくさん飼育されているところで発生するとすぐに感染が広がり大きな被害となります。そのため、日本では家禽が高病原性鳥インフルエンザに感染した場合、感染被害拡大防止のために、発生した農場の家禽の殺処分が法律で決められています。その周囲の施設にも規制がかかります。そのくらい迅速にかつ大がかりに対処しないと、広がってしまうウイルスなのです。

ウイルスはどこから来るのでしょうか?

A型インフルエンザウイルスは水禽、特にカモ類が起源と考えられてます。

通常、自然宿主(ウイルスと共存関係にある)であるカモ類に対しては病原性はありませんが、ニワトリなどの家禽との間で感染を繰り返すうちにウイルスが変異して、高病原性ウイルスが生まれることがあります。

夏、サハリンで多くの水鳥たちが集まり過ごすため、このウイルスが広がります。その鳥たちは症状が強くでないため、ウイルスを持ったまま日本で冬を過ごすためにサハリンや中国から渡ってきます。この渡り鳥と共にウイルスも日本に入ってきてしまうのです。

そのため、日本でも鳥インフルエンザの発生は大陸からの渡り鳥が日本に滞在する寒い時期になります。

当園でも毎年11月頃から春先までは鳥インフルエンザ対応マニュアルに基づいて感染防止を徹底しています。しかし、今年度は12月8日に福岡県内で発生したため、野鳥の侵入を防ぐことができない獣舎(バードゲージ、カンムリヅル舎)や野鳥の排泄物を防ぐことができない獣舎(こもれびの径など)の鳥たちをバックヤードに避難させています。また、その他の鳥の獣舎では屋根とネットを付けて感染防止を強化しています。渡り鳥の季節が終わるまで、みなさんにご覧頂けない鳥たちがいます。どうかご理解頂けますと幸いです。

次回は、当園での感染対策の方法をもっと詳しくお伝えしたいと思います。

« 獣医だより-37-新年のご挨拶
獣医だより-39- 鳥フル防御 »

公園だより