獣医さんのお仕事 公園だより
令和7年度も終わり、新年度がはじまりました。
日ごろ、当園を応援してくださる皆さまに感謝の気持ちを込めた春の感謝祭!と春のファン感謝WEEKは無事に終了しましたが、令和7年度の振り返りである「あゆみあるく展」は4月12日まで、開催しております。
その中でも掲載しておりますが、R7年度もさまざまな治療や処置、健康診断、そして命の誕生と別れがありました。
その内容とかぶりますが、少し補足も兼ねてお話したいと思います。
マンドリルのマンタロウ
2025年9月に左頬に赤みをおびた腫瘤が見つかりました。
マンタロウ自身は気にしている様子はなかったものの、徐々に大きくなっていったため、10月28日に麻酔をかけて腫瘤を切除し、検査に。
切除後
歯の歯石除去も一緒に。
残念ながら結果は脂肪肉腫、つまり悪性でした。術後も変わりなく過ごしていたのに、この病理結果が届いた11月16日に、突然の食欲不振と激しい下痢。食欲がなさすぎて薬も飲めなかったため、銃での投薬を3日間行う緊急処置になりました。その後はすっかり治り、現在も元気に過ごしてくれています。
マンタロウも現在21歳。腫瘤が再発する可能性は十分に考えられるため、しっかりと経過をみていきたいと思います。
モルモット シフォン
7月4日、腹腔内に腫瘤が見つかりました。食べたそうなのに多くは食べられない様子でした。詳しく検査をすると、腫瘤が大きく、このままだと胃を圧迫して食べられなくなる可能性が高かったため、7月8日に手術を行いました。(↓手術前の血管に管を入れ、薬や点滴処置の様子)
腫瘤は肝臓の一部で、大きさが6×4.5×3cmもあり、お腹を大きく切開することになりましたが、手術は無事に終わりました。(↓覚醒したところ)
術後は患部が汚れないようにバンテージを巻いて数日過ごしました。ごはんも少し介助していましたが、徐々に自ら食べる量も増えていきました。14日には群れの仲間に合流、8月にはすっかりお腹の傷も治り、体重も正常範囲まで回復しました!今も元気に過ごしてくれています(↓右がシフォン)。
ワオキツネザル レモン
2024年の6月頃、ケンカで尾の付け根にケガをしてしまいました。通常なら簡単に治る軽度の傷なのですが、気にして舐め壊してしまい治療に苦戦。2024年11月、最終手段としてエリザベスカラーを付けてみることに。群れの仲間が驚くかと思ったのですが、仲間は反応なし。
レモンも全く動揺することなく、最初から落ち着いていました。ワオキツネザル用のエリザベスカラーなんてないので試行錯誤で作り続けて、2025年5月についに完治!!ここは慎重にと、5月末にエリザベスカラーを外したにも関わらず、なんと6月中旬には再度舐め壊して再発(泣)もう一度エリザベスカラーをつけ、今度は完治してからも、少しずつエリザベスカラーの大きさを小さくしていく作戦。
この大きさをつけていても患部には届くけど…という大きさまでつけ続け、ついに!!2025年12月9日完全にエリザベスカラーも外しました!!
長かったです…正直、このまま治らずエリマキワオキツネザルになってしまったらどうしようかとプレッシャーでした(苦笑)
そして、まさかのこの原稿を書き終えた頃、再び尾の付け根を気にし始めてしまったので、3月末から再度カラーを付けています(涙)グルーミングをし過ぎてしまう癖になってしまっているのかもしれません。幸いなことに、カラーを付けてもレモンは不自由そうではないため、今後も、付けたり外したりを繰り返すことになりそうです。もし、カラーの付いたワオキツネザルを見つけたら、「レモンだ!」と思ってください。
治療ばかりでなく、たくさんの健康診断もしました。
大型ではアムールトラのミライとライオンのコマ。
ミライは初めてトレーニング下での麻酔導入に成功し、
銃で怖がらせることなくできました!また、トレーニングが完璧すぎて、当園での健診は初めてだけど、全く心配していなかったコマもスムーズに麻酔導入できました。
昨年度、サポーター費から購入させて頂いたスケーラーのおかげで歯石もしっかり除去できました!(↓ミライ)
(↓コマのスケーリングの様子)
本当はライオンのリアンも健診の計画を立てていたのですが、予定日に気温が下がり過ぎてしまい今季は断念。しかし、血液検査だけでもできたらな…と思い、以前から気になっていたリアンの後肢の血管(ぷりっ!としていて、わかりやすいのです!)からの採血トレーニングを開始しました(多くの動物園では、檻から尾を出して採血をしますが、残念ながら当園の檻からは尾が出ない構造のため、この方法が使えません。)
そしてついに、無麻酔でのリアンの採血に成功しました!!
血液検査の結果は良好。ひと安心です。
その後、コマも同じところから採血ができました!
改めまして、昨年度はたくさんの応援とご支援を本当にありがとうございました。予防も含め、医療費は全て動物サポーター、友の会の会費から使わせて頂いております。今年度もしっかりと動物たちの健康を守っていきたいと思います。
二井

