到津の森公園

獣医さんのお仕事 公園だより

獣医だより-47- 慰霊祭②

前回のお話に続き、今日はムササビの シロタビ のお話をしたいと思います。

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これまでの到津の森公園のムササビたちの中では最高齢まで長生きしてくれました。

 

2010年4月、高知県の工事現場で子ども(体重290g)のムササビが保護され、2013年6月に到津の森へやってきました。足先が白いことからシロタビという名前になりました。若いころは飼育員を怯えさせるくらいの気性の激しさも光っていたようです。

現在の到津の森のムササビたちがあるのはシロタビのおかげ…と言っても過言ではないくらい、繁殖にも貢献してくれました。

そんなおばあちゃん、亡くなるまでの最後の2年はなかなか波乱万丈な人生(ムササビ生?)でした。

来園以来、子育てをしながらも年齢を重ね大きなケガや病気もありませんでしたが、2021年6月に他個体との闘争のせいか尾を骨折。自咬してしまったため、治療後に傷口を保護するために器具↓をつけたのですが、

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麻酔が覚めたと同時にものすごい勢いで器具を噛んだ時には担当者と慌てたことを思い出します。器具には鋭い歯型がたくさんつきました。さすがムササビ!の歯の強さと、さすがシロタビ!の性格!を思い知りました。

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(その後、患部はきれいに治りました↑)

そんなシロタビですが、見た目以上に活力は低くなっていっていたようです。

2022年6月には、ハエに卵を産み付けられてしまい、お風呂シャンプーを繰り返す日々。取り損ねた卵が孵ってしまい、あちこちからウジが…

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(一晩で産み付けられたハエの卵たまご↑)

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(お風呂シャンプー↑)

また、他個体とも闘争してしまい傷を負ってしまったので数日病院で過ごすことに。それでもシロタビの持ち前の気力は遺憾なく発揮され、奇跡的な復活を遂げました。

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(病院に入院中↑)

さすがにムササビの森での生活はもう厳しいかな、と老後をゆっくりと過ごしてもらうための部屋を整備し、のんびりゆっくりと最期まで過ごしてもらうつもりでしたが、

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(広いバックヤードへ移動↑)

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(栄養剤も↑)

こちらが思っていたよりも軽快に動き回り、よく食べ体重も増え…

 

 

次回へ続きます。

 

 

二井

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