到津の森公園

獣医さんのお仕事 公園だより

ワイルドライフレスキュー① ヤブサメの衝突事件
ヤブサメ

 到津の森公園は福岡県委託の「傷病鳥獣保護施設」。
1年に約400件、北九州市内外より傷ついた動物たちが持ち込まれます。そこからは彼らの生態だけでなく、保護の原因から今の自然の現状なども見えて来ます。

 10月に入って5日間連続で「ヤブサメ」が持ち込まれました。どの鳥も脳震盪や神経障害を起こしています。そして嘴や目からの出血、原因は「衝突」のようです。
 ヤブサメは渡り鳥。ツバメと同じく、秋には暖を求めて東南アジアへ渡ります。ちょうど10月は渡りの時期。渡りの途中、市街地には障害物がいっぱいです。

 特に窓に衝突することが多く、ガラスがあることに「気づかない」ためです。反対側にも窓があったり高い場所であったり、見通しがいい窓がそのような事故を招きます。
 衝突防止には鳥にも窓の存在を分かるようにすること。例えばシールやポスターを貼る、薄いカーテンを引くなどです。心当たりのある方は、ぜひお願いします。

 小学校の教室の窓に衝突したため持ちこんだPTAの方に、そんな話をしたところ、早速子どもたちに伝えていただき、すぐにみんなで衝突防止のシールを作り貼ってくれたそうです。

 一つの保護例から、次の悲しい事件を防ぐ事こそ本当の野生動物保護だと感じました。子どもたちのやさしい気持ちと行動力。こうしてたくさんつながって行ければと願っています。

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