到津の森公園

獣医さんのお仕事 公園だより

ワイルドライフレスキュー② 天井裏に動物あり!?~アブラコウモリ
ミルワーム(ゴミムシダマシの幼虫)と特製ミルク
アブラコウモリの現在の様子

~北九州市内外より持ち込まれる野生動物たちを通じて~
 到津の森公園は福岡県委託の「傷病鳥獣保護施設」その数実に年間約400件 。

 夏の日暮れに小鳥のように飛ぶのが「アブラコウモリ」、哺乳類です。別名イエコウモリと呼ばれ、ねぐらは意外にも人家の天井裏など。
 初夏に繁殖するため、この時期は毎年数件の「迷子」が保護されます。
 
 今年は体重1.3gの毛も生えていないおちびさん。ミルクを与えることからはじめます。
 点眼瓶に血管用の細いチューブをつけて、特製の極小哺乳瓶を作成し、猫用のミルクを中心にすり餌とビタミン剤や免疫強化剤などを添加します。
 一回に飲む量は0.2ml程。それでも体重の10分の1以上です。それから2週間、今では体重は3倍の4g、ミルワーム(昆虫の幼虫)を一度に20匹も食べるほどになりました。
 
 しかし、ここからです。虫の取り方をはじめ野生での生活の術を教えられるのは親だけ。
 寿命も2~3年と短い彼らが、野生で冬を越せる確率を考えると果たして放野する意味があるのでしょうか?
 いえ、あります。
 なぜなら彼らは野生で生きていくために生まれた動物です。生き残れるかは彼ら次第。私たちはなるべくその確率をあげる手助けをするだけです。

 もう少しの間、一緒に過ごせることを幸せに思いながら子育てしたいと思います。

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